Three to Four

毒にも薬にもならない文字の羅列

「九日 Nine Sols」がとてもよかった

「返校 Detention」「環願 Devotion」のRedCandleGamesより、待望の新作が5月末についにリリースされた。過去作とは打って変わって、「九日 Nine Sols」は2Dプラットフォームのタオパンクメトロイドヴァニア。「Hollow Knight」と「Sekiro」に大きく影響を受けているとアナウンスされている通り、ルックと手触りはだいぶ「Hollow Knight」で、そこに「Sekiro」の弾きが加わったといったプレイフィール。ビジュアルは台湾のスタジオらしく道教がモチーフとなっていて、デザインにも独自性がある。(ここらへんはポケットペアも見習え)

本作はクラウドファンディングで2年くらい前に応援していて、それからずっと楽しみにしていた。先行して体験版が出たり、バッカー向けにベータテストが開催されていたりしたけど、正式リリース時の体験を初物にしたかったので、それらにも一切触れないレベルの期待の入れようだった。

アートデザインが魅力的。ケモ耳属性有

ノーマルモードを30時間ほどでクリア。結論からいうと期待以上の出来で、本当に幸せな30時間だった。ボリュームという意味ではインスパイア元の「Hollow Knight」には及ばないが、個人的には長すぎても疲れてしまうので、これくらいがちょうどよい。

どのボスも歯ごたえがあり、ボスによっては初見時『絶対に勝てない』と思うのだが、繰り返し挑むうちに完封できるようになったりして、自らの成長を実感できる。後発のフォロワー作品としてはもはやマストではあるが、ボスへ再挑戦する際の道中や、各セーブポイント(いわば篝火)へのワープなど、なるたけストレスを低減しようという試みもされている。

重要なストーリーはコミック風の演出で進む

過去作でホラーゲームながら情緒的なストーリーを描いてきたスタジオだけあって、本作も心を動かすストーリーが展開される。序盤はストーリーの説明がほぼなく、また中国文化が取り入れられた設定だけあって、漢字が多めなので日本語圏の人はちょっととっつきにくいところはあるが、話を進めればどんな目的で主人公が戦っているのかわかってくるので、ソウルシリーズに影響を受けた作品の中でもわかりやすいほうだと思う。「Hollow Knight」とかも結構ストーリーがわかりにくいところがあったが、それよりもだいぶ良い。

残念なのは翻訳のアラで、ちょいちょい気になるところがあり、翻訳としては完璧ではない。まだリリースされたばかりなので、ここらへんはアップデートで改善されることに期待したい。

個人的に観測する限りでは、特に国内では思ったより話題になっている感じはしないので、もっと売れて欲しい。海外メディアで『「Hollow Knight」以来最高のメトロイドヴァニア』とか散見したが、ほぼ同意見。高難度のアクションで心が折れないのならばぜひに。高難度とはいえ、アクションはあまりやらない私がクリアできたのだからそこまで鬼畜でもないと思う。

しかし「Hollow Knight」風のアクションと弾きの親和性があまりにも高すぎたなとも感じていて、いまだ発売されない「Hollow Knight Silksong」が果たして楽しめるのかが不安。当たり前だが「Hollow Knight」はかなりの避けゲーだったので、「Silksong」もそれに準ずるだろう。プレイヤーに攻撃できない時間を強いる避けゲーが今後どれだけ通用するのか。これは3Dアクションだけに限らず、2Dアクションの間でも今後課題になってくるのかもしれない。

 

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