Three to Four

毒にも薬にもならない文字の羅列

8月9月で読んだ本

楽園とは探偵の不在なり(斜線堂有紀)

天使の降臨により、二人以上の殺人を犯すと地獄に落ちるようになった世界を舞台にした特殊設定ミステリ。テッド・チャン「地獄とは神の不在なり」をもじったのであろうタイトルと、その突飛な設定で結構前から気になってはいたんだけど、まぁ結論をいうとだいぶ期待外れだった。もちろん内容もそうだが、なにより文体が軽めで、一昔前のいわゆるライトミステリや新本格に分類される作品たちはまだまだ硬派だったなとすら思えた。「紅蓮館の殺人」を読んだときの失望再び。要は文体が合わなかったという話。

 

メルカトル悪人狩り麻耶雄嵩

これを読むために「メルカトルかく語りき」を再読したので、本命もちゃんと今年を出ないうちに読了。麻耶雄嵩はやっぱり良い。各短編の初出年月を見て思いを馳せる。1997年、何をしていたかな。

 

円(劉慈欣)

三体の劉慈欣による短編集。三体の雛形になったであろう作品もちらほら。三体から読むのは重いので、円から入るのもアリ。

 

人工知能は人間を超えるか(松尾豊)

だいぶ前に買った本なので、当然最新の動向については書いていないが、執筆時点から予期された未来が来ているかという点で面白く読めた。

 

ガーンズバック変換(陸秋槎)

「色のない緑」がSFデビューらしい陸秋槎待望の短編集。前半は挑戦的な作品も多くて、引き出しの多さに驚く。とはいえ、とっつきやすいのは後ろ2編だろう。

 

ギルガメシュ叙事詩(矢島文夫)

ちくまプリマー新書の「謎解き 聖書物語」を読んでいたところ、言及と引用があって、そういえば途中までしか読んでいなかったと思い立ち、こちらを先に読了。案外邦訳が出たのが最近だったりするんだなと。1965年を最近というならだけど。

 

以上6冊。だいぶペースが上がってきたが、今後はどうかな。今年も残すところあと3ヶ月。まだまだ積ん読もいっぱいあるので、なるたけ時間を空けて努力したい。

10月は森博嗣のXXシリーズ第3作め、「情景の殺人者」が刊行。楽しみだ。